食と健康の話題
ドクダミの話
by F.P.University Y.H./平成13年2月1日
ドクダミとは?
ドクダミ(Houttuynia cordata Yhunb.)は日本、中国、ヒマラヤ、ジャワなど東アジア地域に広く分布し、日本では本州、四国、九州の低地に自生する多年生草本で、サツマイモの葉に似た葉をしており、6月の入り梅雨頃に白い花弁状の総苞を持つ穂状の花をつけます。全株に特異臭があり、繁殖力が強い地下茎は長く伸びて分岐し、一度根づいたら、なかなか除草できないしぶとい草である事から『シブト草』とも呼ばれます。
ドクダミは日本に昔から知られる民間薬で、主として化膿性皮膚炎、水虫等真菌症など皮膚病に外用薬として使われてきました。近年になってその薬効成分が明らかになってきており、厚生省の発行する『日本薬局方』にドクダミは『十薬』として収載されてます。これは民間薬としてその効果が証明されたものについて、薬事法に基づいた薬剤の標準的な処方、品質を告示したものです。『十薬』という名が示すように外用以外にも様々な薬効がある事が知られています。ドクダミは強い特異臭のするデカノイルアセトアルデヒドという精油成分やクエルシトリン、イソクエルシトリン、およびミネラル(カリウム塩)などの成分を含んでいて、これらがドクダミの種々の効能の元となっています。
<効能>
1.外用薬として(細菌、糸状菌に対する抗菌作用)
化膿性皮膚炎、水虫等真菌症の治療に・・・
ドクダミを生のまま用いる薬効には、外用薬としての効果があります。昔から生葉をもんで悪臭が出たものをおできなどにつけて湿布すると、おできの膿を良く吸い出して治療しますが、これが典型的なドクダミの外用法です。この効能にはドクダミ特有のにおいの元となっているデカノイルアセトアルデヒドという成分が関わる事が明らかになりました。この物質はブドウ球菌など細菌の生育を阻害するサルファ剤と比べて高い抗菌作用を持つことがわかりました。その他にカビなど糸状菌に対しても抗菌作用があるといわれます。これら真菌による感染症は白癬菌による水虫が良く知られています。
※有効成分であるデカノイルアセトアルデヒドは変化しやすく、効能を得るためには生の葉を用いる事が必要である。
2.内服薬として(利尿作用、緩下作用、毛細血管強化作用)
新陳代謝促進(解毒)、便秘解消→ダイエット、肌荒れ予防に・・・
ドクダミを内服する場合は、生葉のままでは上記したように強い抗菌作用のため、あまり奨められません。ドクダミを原料とする『十薬』は葉を含む茎、花など地上部を刈り取って乾燥したもので、乾燥させると主成分 デカノイルアセトアルデヒドの抗菌作用は失われます。そして、『十薬』としてのその他の効能を得る事ができます。
ドクダミは昔から広く”毒下しの妙薬”として知られており、利尿作用により体内の老廃物や有害物質を効率良く排出し、またその緩下作用により便通を改善し大腸癌など万病の元となっている便秘を防ぐと言われてます。その有効主成分は葉に含まれるクエルシトリンと花穂に含まれるイソクエルシトリンという事が分かってます。2つの物質は化学構造が類似しており、フラボン系植物色素に分類されます。両方共に高い利尿作用と緩下作用を持っています。同じフラボン系植物色素であるルチン(ビタミンP)には毛細血管収縮作用があり、また、毛細血管の抵抗力を強め、透過性の増大を抑制する作用もあります。ドクダミは他に無機成分としてカリウム塩などのミネラルを多く含んでいます。カリウム塩も利尿作用に関わり、細胞内の代謝に重要な役割を持っています。
以上の成分は植物界に広く存在しており、ドクダミはとりわけ多くこの成分を含んでいます。クエルシトリンなどの植物色素の利尿解毒作用、緩下作用によって体内の新陳代謝を活発にし、また、ルチン様の毛細血管強化作用によって皮膚への栄養供給を正常化することで女性にとって美容の大敵である便秘や皮膚のトラブルを解消します。
民間療法について
民間薬や民間療法というと、如何にも程度の低い治療法のように感じる人も多いと思います。確かに西洋医学が開発してきた医薬には優れた効果を持つものが多くあります。その反面、効き過ぎる薬は時に副作用をもたらす事があります。
人間のからだの中には多種の化合物や微生物が複雑に関係しあっていて、しかも1つの物質が多面的な効果をもつことは珍しくありません。よって、強い薬を投薬する時は特に気をつけなければならず、このような医薬は感染症や副作用を併発するという最悪な結果となりかねません。一方、漢方薬や民間薬は1つの症状に対する効果という点では劣っているといえますが、その分、副作用は起きにくいといえます。多くの場合、成分の相乗作用によりいっそうの治療効果をあらわすのが漢方や民間といった薬草療法の特徴といえると思います。いまだ見つかっていない有効な成分も眠っている可能性があり、まだまだ解析の余地があると思います。民間薬の中には実際の効果がほとんどないものもあると思いますが、ドクダミは漢方薬にも使われるように日本の代表的な民間薬といえると思います。民間療法を含め医学は万能ではなく、まだわからない事が多いため、対処療法になりがちです。どの療法が一番優れているという事はできませんが、やはりTPOを考えて症状が重いときはキチンとした病院に行きましょう!
漢 方 薬 |
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臨床学的な知識や経験に基づいた『漢方』にしたがって、
生薬を組み合わせブレンドしたもの |
民 間 薬 |
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人々の生活の経験から薬草として発見されたもの |
参考文献 |
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鍵和田 和男 監修/『ドクダミ健康法』 ナツメ社
主婦の友社 編集/『ドクダミは効く』 主婦の友社
日本薬局方解説書編集委員会 編集/『第十三改正 日本薬局方解説書』 廣川書店 |
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