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脂肪酸の話 その1

植物油を摂るべきか、魚油を摂るべきか

From Dr.Y.I/平成7年8月21日

 脂肪酸といえば数年前、エイコサペンタエン酸(EPA)が話題になった。最近では頭が良くなるということでドコサヘキサエン酸(DHA)がもてはやされている。また、少し前までは成人病予防に役立つということでリノール酸が人気を集めていた。ところが最近では逆に成人病を促進するという話もきく。健康意識の高まりから脂肪酸に対する関心度が高まっている。しかし、その一方で情報が入り乱れているのが実情のようだ。学会では脂肪酸の摂取バランスなどに関して、侃々諤々の議論が繰り広げられ、一定の結論がでていない。これが混乱の一つの原因になっているのかも知れない。


食品中に含まれる多価不飽和脂肪酸
n-6 系 リノール酸(大豆油等植物油)
n-3 系 α-リノレン酸(紫蘇油等)
DHA,EPA(魚油等)

 従来、脂肪酸は飽和脂肪酸にたいする多価不飽和脂肪酸という単純な図式で捕らえられていた。そして、多価不飽和脂肪酸=リノール酸という認識でよかった。ところが、最近、多価不飽和脂肪酸でも植物油に多いn-6 系と魚油に多いn-3 系では生理機能がことなることが明らかにされ、二つに分けて議論する必要が出てきた。

 吸収された多価不飽和脂肪酸はエネルギー源として利用されるほか、血清コレステロールを低下させたり、細胞膜成分やプロスタグランジン等の生理活性物質に変えられる。中でもn-6 系のリノール酸は生体にとって重要で、これが不足すると生体全体にわたる代謝異状が起こることが知られている。必要量は摂取エネルギーの2%とされている。ただし、現状では不足する心配はまずないとされている。逆にリノール酸の過剰摂取によって、HDL(善玉)コレステロールが低下したり、大腸がん、食道がん、乳がん等さらに心筋梗塞等の血栓症が促進されることが報告されている。一方、DHA,EPA等のn-3 系の脂肪酸は、これらの疾患に対し、抑制的に働くことや、脳神経系の維持、免疫機能の正常化、網膜機能の維持などn-6 系とは別の重要な生理機能があるらしいことが明らかにされつつある。ではn-3 系の脂肪酸を多く摂ればよいのかというとそうはいかない。n-3 系の脂肪酸は非常に酸化され易く、過剰摂取は過酸化反応(活性酸素の生成)の問題があるうえに血漿ビタミンE濃度低下、肝臓障害等の問題も指摘されている。

 そこで、問題になるのがn-3 系のリノール酸とn-6 系脂肪酸との摂取バランスである。リノール酸の摂取量を減らし、n-3系/n-6系の割合を1にすべきと主張する学者もいれば必要以上のn-3系の摂取は危険であるとする学者もいる。日本人の魚介類摂取量は減ったと言われているが、脂肪に富んだ養殖魚の消費が増えたおかげで、この20年n-3系/n-6系の摂取割合は1対4程度で変化していないらしい。アメリカの摂取割合が1対10、カナダ健康協会の勧告が1対4であることを考慮しても現状でよいとする意見がやや優勢のようである。

 これらの問題の結論を得るには今後のさらに多くの研究が必要なようだ。いずれにしても、すべての機能成分はメリットと同時にデメリットを合わせ持つことを認識しておくことが大切だと思われる。限られた範囲の動物実験データや一部の報道に惑わされあまり極端なほうへ走らないようにするのが賢明だ。



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