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ビタミンの話 その1

ビタミンAの話

From Dr.Y.I/平成7年6月23日

 最近、テレビのCMですっかり有名になってしまったβ-カロチン、これは体の中に入ってビタミンAに変わるいわゆるプロビタミンAである。人参、ほうれん草、パセリ等の緑黄色野菜に多く含まれる。一方、レチノール、つまりビタミンAそのものはレバー、うなぎ、うずらの卵等の動物性食品に含まれる。

 このビタミンAの欠乏でもっとも有名なのが暗順応の低下、いわゆる鳥目である。その他、肌が荒れる、風邪などの感染症にかかりやすくなる、小児では骨、歯の形成不全を伴う発育障害が起こる。ビタミンAの欠乏は@食事からの摂取不足のほか、A胆道閉塞肝硬変などに伴う腸管吸収障害、B糖尿病等による、カロチンからレチノールへの転換障害、C肺炎、リウマチ等による体内貯蔵量の低下の場合にみられる。さて、厚生省の調査によれば日本人の平均摂取量は一日あたり約2700単位となっている。所要量が1800〜2000単位であることを考えると、著しい偏食をしなければ、摂取不足はそれほど心配なさそうである。

 ところで肝油というのをご記憶だろうか。若い人はご存じないかも知れない。小学校の頃飲まされたグミの様なものである。これはビタミンAの補給を目的に小学生に投与されたはずである。いつ頃まで肝油の投与が行われたか知らないが、今ではすっかり姿を消してしまったようである。

 肝油とは一般に水産動物の肝臓に由来する脂肪のことを言うようである。日本薬局方によれば、マダラまたはスケトウダラの新鮮な肝臓および幽門垂から得た脂肪で、1g当たり2000〜5000単位のビタミンAを含むとある。その薬効は消化され易い脂肪、ビタミンA、Dを含有するためその総合効果が期待されるとあり、適応はビタミンA、Dの欠乏症の治療および予防に用いるとある。

 かって我々が小学生だった頃、ビタミンAが不足していたので肝油が用いられたのだろう。厚生省の国民栄養調査を見ると昭和30年の摂取量は1000単位、所要量の半分である。その後、経済成長と共に食生活も豊かになり、徐々に摂取量は増加する。しかし、東海道新幹線や名神高速道路が開通し、東京オリンピックをへて先進国の仲間入りを果たしたはずの昭和40年でさえ摂取量は1300単位で不足状態は続いていた。昭和45年大阪万博の年、この時でもまだ1500単位しか摂っていない。昭和48年になってようやく摂取量は2000単位程度になった。おそらく、このあたりで肝油の使命は終わり、姿を消していったと思われる。我々がビタミンA不足を心配しなくてよくなったのはそう古いことではなさそうだ。

 この用なしになったはずの肝油、実は今も生産されている。その生産量、輸入量は年々増加しているとのことだ。我々が子供の時にお世話になった肝油の現在の主な用途は養魚飼料である。肝油はフィールドオイルと呼ばれウナギ、ニジマスさらにマダイ、クロダイ、ヒラメ、ハマチ等の配合飼料に利用されている。土用の丑の日に夏バテ予防にビタミンAが豊富なウナギを食べるが、あれは肝油が姿を変えたものだったということか。かって、ビタミンA補給という直接的な形で我々を支えてくれた肝油は今も形を変えて、我々の豊かな食生活を支えている訳だ。

 歴史的には摂取不足ばかり心配されてきたようだが、ビタミンAには過剰症も知られている。過剰症になると頭痛、吐き気、不機嫌、食欲不振等の症状が現れる。このほか肝臓障害や、皮膚、骨の異状も引き起こす。乳児では、水頭症等も認められるようである。成人ではビタミンA一日75,000〜100,000単位を6ヶ月以上続けて摂取するとおこるといわれている。これは、レバーを毎日190〜250g食べ続けた場合に相当する。

 ビタミンAもβ-カロチンの形で摂取すれば過剰症の心配はない。せいぜい人参黄だんあるいは柑皮症等と呼ばれる皮膚の黄変が起こるくらいである。β-カロチンは体内でビタミンAに変換されるほか、ガン、動脈硬化等の成人病の原因となる過酸化脂質ができるのをおさえる抗酸化作用があり、大腸ガンなどのガン予防にも繋がる。これが、最近β-カロチンがもてはやされるようになった理由である。しかし、ビタミンAの供給源としてみると、β-カロチンは吸収率が低い上、体内でのビタミンAへの変換にも限界がある。特に乳幼児の場合はレチノールでの供給が求められている。成人においても2000単位の所要量の半分はレチノールから摂取することが必要とされている。β-カロチンは緑黄色野菜からしっかり摂取したいものだが、それだけではビタミンAとして十分とは考える訳にはいかないようだ。

ビタミンA(レチノール)の多い食品
  レチノール(μg) ビタミンA効力(単位)
とりレバー 14,000 47,000
豚レバー 13,000 43,000
牛レバー 12,000 40,000
マーガリン 1,800 6,000
ウナギ(蒲焼き) 1,500 5,000
バター 500 1,900
うずら卵 450 1,500
プロセスチーズ 240 1,200
(100g当たりの含有量) 四訂食品成分表より



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